衝撃の問題作!?ジョージ朝倉の『溺れるナイフ』がキテる件
いきなりですが、皆さん少女マンガって読みますか?タイは漫画が大好きなんですけど、正直少女マンガはあんまり読んできていません。
基本的にジャンプ系の少年漫画ベースばかりを読んできましたが、最近ある漫画に出会いました。多分有名なんで知ってる人は多いと思いますが、今更ハマってしまったのはこちら。
ジョージ朝倉さんの『溺れるナイフ』。この作品は本当に衝撃作・・・初めてです。こんなにエンドレスで読み返すの。
だからこそ、紹介したくて、書きたくてしょうがなかった。絶対に読んでほしい作品。少女漫画の世界観を覆した問題作にハマること間違いなし!
『溺れるナイフ』にハマったキッカケ
タイのiPadに入っているマンガアプリ、マンガボックス。いつもお世話になってます、はい。マンガ好きのタイにとって、無料で漫画が読めるアプリは神。
ニュージーランドにいる時にダウンロードしてからたくさんの漫画をこのアプリで読んできました。そして溺れるナイフに出会ったのもこのマンガボックス。
マンガボックスは基本毎週少しつづ公開されるシステムなんですけど、有名な漫画は3話だけ公開とかなんですよ。うまいですよね〜。で、溺れるナイフもそうだったってわけ。
いつもは無料で公開されてるの読んだら、はい。おしまいって感じで、続きはマンガ喫茶で読むか、そのまま終わるか。でも、溺れるナイフを読んだ時「なんじゃこれ・・・」ってなって一気に大人買いしてしまった。
これが人生で初めての全巻買い。しかも読んですぐに、楽天Koboで。下にあるiPadの画像はまさにタイのリアルiPadで、全巻溺れるナイフが入っています。
漫画『溺れるナイフ』の世界観
タイが普通の少女漫画をあんまり読まないのは、オチがないから。誰かと誰かがくっついて終わるっていうのがどうも苦手で読む気がしない。逆に不倫もののドロドロしたやつとかは読みますけどね(笑) 切なさが良かったりしますけど、ちょっと複雑系じゃないと読まないです。
でも溺れるナイフはどっちも持ってるくせに、世界観がすごい。あくまで少女マンガなので恋愛がベースなんだけれども、ドロドロした、人間の複雑さ、切なさ、欲望などが少女漫画にはない切り口で描かれている。
輝いていた人間たちが地に落ちた時、どの様に感じ、どの様にもがき苦しむのか。どの様に光を取り戻して行き、どうやって這い上がるのか。それを少女漫画の世界観ではあり得ない深いところで見せてくれる。
少女漫画を読んで「怖い」と感じたのは初めてだった。ホラーの怖さじゃなく、人間というものが抱えている孤独を見せつけられた時、まるで自分の事を見透かされている様な気がしてならなかったからだ。
『溺れるナイフ』のあらすじ
物語は主人公ナツメが12歳の時から始まる。目がくらむ様な熱い刺激を求めて、興味本位で応募した中学生向けの雑誌プラムの読者モデルをしていたナツメは、存在感抜群で人気者。充実した日々を送っている様に見えた矢先、東京から5時間の所にある父親の故郷・浮雲町に引っ越すことになる。
都会のキラキラした世界で生きていたナツメにとってそこは退屈な田舎だったが、町の人々が“神さんの海”と呼ぶ海で、少年コウと出会う。
コウの不思議な魅力に取り憑かれたナツメは、自分が求めていた熱く刺激のあるものをコウに見い出し、“神さん”を作り上げるが、ナツメとコウを人生のドン底に突き落とす様な事件が起きる。
その事件からどう這い上がるのか、2人の運命はどうなって行くのか。10代のなんとも言えない、むき出しのナイフの様な思春期の時代を描いた物語。
『溺れるナイフ』の魅力とは?
本だと文章でそこの世界観が表されてますが、マンガだとセリフ無くして表情や仕草で細かいところまで伝わる。多くは語らずとも伝わるのです。そこがマンガの魅力とも言えるでしょう。
では、溺れるナイフの魅力は何なのか?
これは熱くならずして語れない!
魅力1:世界観を作り出す、ジョージ朝倉さんの画力
溺れるナイフはまず絵が美しい。マンガだったら重要なポイントですよね、画力。このマンガの世界観をここまで引き出してくれたのはジョージ朝倉さんの画力あってこそ。
特に海のシーンは多く、水の中のシーンなんかは息をのむほど美しいです。水中って、潜った時に一気に音が消えるじゃないですか。ボコボコっていう泡の独特な音がして、水中にいる時のあの神秘的感って半端ないと思うんですよ。
それがこのマンガでは伝わってくるんです。絵を見てるだけなのに、読んでて見入り過ぎて、こっちまで息止めちゃう。みたいな感覚に陥ります。
魅力2:人物たちの目が生きている
これも画力に入りますが、タイが引き込まれる大きな理由の1つだったのであえて言わせてもらいます。メインの2人を始め、登場人物たちの目が生きている。
タイ的には特にコウの目がヤバいよね。コウが全てを見透かした様にナツメを見る目がたまらなくいい。ナツメはただ目がでっかくて、目力がすごい。(笑)本当に読んでいて、コウにドキッとさせられますよ。
なんか登場人物がみんな北村一輝さんかってくらい存在感があって、濃いです。
魅力3:あえてのチョイス?ヒロインたちの魅力
少女マンガあるあるの主人公が可愛い。をあえて持ってきてる様な気がします、このマンガに至っては。端から見れば全てを持っていて順風満帆な少女、だからこそ起こった悲劇。そしてそのドン底から這い上がる様を描きたくて、あえて“誰もが羨む様な完璧な美少女”を主人公にした気がしてならない。
そしてお相手コウに至っても同じ。一際目立つ存在で、町にとっても特別な存在の1人の少年の立場と葛藤。そんな特別な2人が闇に引きずり込まれていく。
周囲から見ても輝いている2人だからこその、焦燥感や葛藤から作り出されるこの世界観。ただの可愛い主人公と普通のイケメンでは成立しなかったであろう、ジョージ朝倉ワールドに脱帽。
魅力4:神さまと共存している町という舞台
日本古来からある考えで自然に神が宿っていると信じられていて、今も尚、昔からの行事を愛し、自然を守って慎ましく生きている村が舞台。田舎が舞台という漫画は結構あるけど、溺れるナイフはただの田舎のストーリーじゃない。
マンガの中の人物も方言で話すので、これもまたいい感じ。出てくる方言は色んな方言をミックスして作られた様です。
『溺れるナイフ』はなぜ衝撃作なのか?
10代のあの頃って、何に対しても一生懸命で、がむしゃらに生きてましたよね。何かに悩みながら、何に対してか分からない苛立ちや不安を何かにぶつけたくって、でも少しかじった社会はそう甘くはなくて。
モヤモヤしながら生きて、でも良いことも楽しいこともいっぱいあって。それが青春なんだなぁなんて、その時は分かんねーよ!みたいな感じ。
その上手く言えない切なさや気持ちをぶつけてくるマンガです。人間のありとあらゆる欲にまみれた様をみせてくる。支配欲・暴力・嫉妬・葛藤・・・暗くて深い、でも先に待ってる未来は明るい。まるで水中から上を見上げた時みたいに。
だから溺れるナイフっていうんですかね・・・!?今書いてて思いました、本当に立った今。
これ少女マンガっていうジャンルであってますか?って思うくらいの衝撃作です。
『溺れるナイフ』の映画は?
正直観てません。(笑)最近、興味本位で少し観たくなってはいるけど、マンガの実写化って良いことないってくらい失敗に終わることの方が多いじゃないですか。
でも菅田将暉は大正解だと思います。コウを初めて観た時からずっと、実写化するなら彼しかないと思っていたくらい。演技力とかは知らないけども、顔が似てる気がする。でも金髪は最大の失敗だと思う。やっぱり日本人が金髪だと浮く。
主人公ナツメは小松菜奈って知った時は「え〜!絶対ちゃう!」って思いましたけど、表紙見てたらなんか段々小松菜奈に見えてきた・・・目から見る情報って恐ろしい。
でもナツメはもっとギャル顔の人の方がいいのでは?と思ったり。目力が強いし、マンガが何より小松菜奈のキャラと程遠い。
個人的にはマンガが17巻もあるのでドラマにして欲しかった。2時間くらいの映画にするのは無理があると思います。
まとめ
本当に少女マンガの中で1番好きです。ダントツで。少年マンガとは比べるのはお門違いなので比べません。
ジョージ朝倉さんの他の作品はピースオブケイクを先に読んでいましたけど、そこまでハマらなかった(笑)
溺れるナイフはただただ、自分でもびっくりするくらい読み終えたら、また最初から読んでしまうマンガ。ある意味問題作で衝撃作。タイのこの記事を読んで、もし読んでくれた人がいたら、感想聞かせてほしいです。マンガ喫茶でも単行本でも、KindleでもKoboでも、とりあえず読んで見て下さい。